むし歯の仕組み、もう一度整理してみませんか？

むし歯の原因といえば、
「甘いものを食べすぎるとダメ」
「歯みがきが足りないとむし歯になる」
といった話がよく知られています。

「脱灰と再石灰化」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。
でも、実はこの仕組みを正しく理解している方は意外と少ないのです。

今回は、むし歯ができるメカニズムについて、最新の視点も交えて整理してみましょう。

むし歯は“特定の菌の感染症”ではない？

かつては「むし歯菌がうつる」といわれ、特定の菌――とくにミュータンス菌の感染が原因だと考えられていました。

しかし現在では、むし歯は「感染症」というよりも、
“さまざまな細菌が関わり合いながら、食習慣や時間的要因とともに進行する生活習慣病”と理解されています。

つまり、ある菌が「うつる」から虫歯になるのではなく、菌が増えやすい環境が整ってしまうことが問題なのです。

 歯は日々、溶けたり戻ったりしている

むし歯は、突然できるわけではありません。
食事やおやつをとると、お口の中のpHが酸性に傾き、歯の表面からミネラルが溶け出します（脱灰）。

その後、時間が経つと唾液の力でミネラルが戻り、修復されます（再石灰化）。
この「脱灰」と「再石灰化」のバランスによって、私たちの歯は健康を保っているのです。

だらだら食べがむし歯のリスクを高める

このバランスを崩してしまうのが、「だらだら食べ」や「頻繁な間食」です。
糖が口に入るたびにミュータンス菌が酸をつくり、口の中のpHが低下します。

すると、再石灰化する時間が足りなくなり、歯はじわじわとダメージを受けていくことに。

まとめ

・むし歯は「感染」ではなく、細菌・糖・時間・唾液・歯質などが複雑に関係する“多因子性の疾患”です
・ミュータンス菌がスタートをつくり、ラクトバチルス菌が深く進める
・脱灰と再石灰化のバランスを守るには、食べ方・時間・回数の管理が重要
・「酸性の時間」を減らすことが、最大の予防策になります

知っているようで、うろ覚えなことも多い「むし歯のしくみ」。 
この機会に、ぜひもう一度整理してみてくださいね。